たぬき退治(たぬきたいじ) (岡田上:おかだかみ)
舞鶴から西へ行くと由良川に当たります。
その昔そこを福知山方面に向かうと、その付近ではたった一つの由
その村から、別れて山へ向かう道があります。
めったに人が行きかうことはないですが、宮津へと通じる抜け道で
その山を越える道を進んでいくと、大入道に出くわすと噂がありま
村人①「うちのじいさまが、大入道に出くわしたと言っとるげな。
村人②「おまえさんところもかい、うちでもばあさまが見て腰を抜
和尚「なにをたわけたことを言っておる。そのようなもの、わしが
村のお寺の和尚さんは村人の噂を聞いて、どうせタヌキのいたずら
さっそく和尚さんはひとりで、山へ行く道を歩いていきました。
もう夕暮れで、化け物が出るにはうってつけのころ合いです。
行く先に大きな木が立っていました。
和尚さんがズンズン行くと、大きな木が動き出して道をふさぎます
狸 「こら、どこへ行く。通りたかったら荷物を置いていけ。食い物で
和尚「なに者。食い物ならふところの中に握り飯があるが、そう簡
狸 「なんだと、おれ様が怖くないのか。」
和尚「食い物が欲しいのなら、わしと知恵比べをしようではないか
和尚さんはわざとたぬきを怒らせるように言います。
和尚 「お前さんは大きな大入道には化けられても、小いせいもんには化
狸 「何を言う、大きいもんでも、小せいもんにでも何ぼでも化けられ
和尚「そんなら、わしの手のひらに乗るような小豆に化けてみい。
狸 「ぬかしたな、そんなことはめしを食うより簡単なこと。」
たぬきはそう言うと、少し頭をなぜなぜしていましたが。
狸 「小豆にな~れ。」
と言ったとたん、小豆が1つぶ地面にコロコロところがりました。
和尚「おお、お上手、お上手。」
和尚さんはほめるように言いましたが、さらに挑発して言います。
和尚「だが、普通の小豆では芸がないのう。たとえば煎った小豆な
狸 「煎った小豆になったら、お前に食べられてしまうじゃないか。」
和尚「お前はなかなか頭がかしこいのう。だが、小豆は焚いて食べ
たぬきはそれを聞くと徐々に色を変えて煎った小豆になりました。
和尚「おお、お上手、お上手。だが、だがよく見えんなあ、よく見
和尚さんはそう言うと煎った小豆を摘まみ上げるとしげしげと見た
和尚「おお、やっぱりまずいわい。」
小豆は、とっぷりと日も暮れた暗い道に、コロコロと転げて行って
翌朝、その道を通りがかった村人がおどろきました。
村人「なんと、大きなたぬきが死んでおるわい。」
そのたぬきは、大きな太鼓腹が和尚さんの歯の形にはじけとったそ