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【PODCAST】2024-5-26 OA 第53回 大きなわらぞうり 平(たいら) 

番組名:ラジオ散歩★舞鶴ウォーカー
カテゴリ:ポッドキャスト, 舞鶴の歴史・民話
更新日:2024年05月24日

むかし、むかし、東舞鶴の大浦半島にある平(たいら)の村は、静かな湾の奥にあり、豊な土地と海からの獲物にめぐまれ、村人はのんびりとした生活をしていました。
いろいろな作物が豊作で、沢山の食べ物をたくわえられた、とある秋の頃のことです。
とつぜん腕っぷしの強い荒くれ者が村へやって来て、武者修行と言い、畑で見かけた男を相手に力比べを挑みました。
村人はいとも簡単に負けてしまい、その代償に作物を横取りしたり、家の宝物を持って行ったりして、村人をいじめて帰って行ったのです。
味をしめた荒くれ者が再び村にやって来たので、村人は負けてはならぬと、村で一番の力自慢の岩蔵に相手をするように頼みました。
荒くれ者は岩蔵に戦いを挑むと、力はどうも五分五分で中々決着がつきません。
そこで、卑怯にも荒くれ者は隠し持っていたこん棒を取り出すと、岩蔵をさんざんに打ち据えてしまいました。
岩蔵は怪我をしてしまい、もう力比べなどできなくなってしまいました。
荒くれ者はまた、作物や宝物をぶんどると、意気揚々と帰って行きました。
村で力自慢の岩蔵が怪我をしてしまったことを知ったのか、噂を聞いた他の何人もの荒くれ者が入れ替わり立ち替りにやって来ては、村人を苦しめました。
そんなことがつづいたのでは、村人はたまりません。
村人たちは庄屋さんの家に集まり、荒くれ者を追い返す何か良い方法がないかと、みんなで相談をしました。
村人「あんな腕っぷしの強い奴らが来ると、村の誰も太刀打ちできん、もう村を荒らされるのはこりごりだ、庄屋さんどうにかならないもんかのう。」
庄屋「そう言われても力自慢の岩蔵でさえひどい目に合ってしまい、どうにもなんねえ。」
村人「庄屋さんよう、となり村の力持ちに頼んでもらえないもんかのう。」
庄屋「それにはお金がいるが、もう村には出せる金がないぞ。」
用心棒をたのむのにも、もうお金もないので、よい考えが浮かばず、みんなで頭を抱えてしまいました。
そんな中、一人のお年寄りが、みんなに言いました。
年寄「そうだ、皆ででっかいわらぞうりをつくるのじゃ、そしてぶら下げるのじゃ。」
それは、村をあらしにくる、荒くれ者のはいているものより、もっともっと大きいわらぞうりを作って、村の入口の見えるところにぶら下げるということでした。
みんは、半信半疑になりながらも、さっそく、みんなでわらをもちよって、大きな大きなわらぞうりを作りました。そして、その夜に村の入口にぶらさげたのです。
そうして待ち構えていた、秋のある日、いつものように荒くれ者が村にやってきました。
入口で見張っていた者が皆に知らせ、村人たちは小屋のすみや木のかけにかくれて、じっと様子を見ていました。
荒くれ者「はて、なんじゃ、この大きなわらぞうりは?・・・そうか、きっとこのぞうりをはくような用心棒が来たに違いない。今日はこの村に入るのを止めておこう。くわばらくわばら。」
荒くれ者は大きなわらぞうりを見て、きっとかなわないだろうと、恐くなって逃げて帰ったというのです。
村人「やった、荒くれ者のやつ、おじけついて逃げ帰って行ったわい。」
庄屋「おお、これもみんなが知恵と力を合わせてくれたお陰だ、これで村も安泰だわい。」
村には元のような平和が訪れました、めでたしめでたし。


2024.05.00 おつぎ

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