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【PODCAST】2023-6-23 OA 第42回 桑飼下の上池・下池

番組名:ラジオ散歩★舞鶴ウォーカー
カテゴリ:ポッドキャスト, 舞鶴の歴史・民話
更新日:2023年06月23日

桑飼下の上池・下池(くわかいしものかみいけしもいけ)(桑飼下:くわかいしも)
2023.5.15 おつぎ


昔し、由良川がくねくねと曲がって流れて、あちこちに池や沼を作っていたころの話です。
宇谷(うたに)というところに泥沼があり、そこに流れ込んだ水は順に桑飼下の上池、下池へと流れ進み、志高の長池へ流れていたようです。
下池は小さいので年に一回魚を捕るためにかい出して空にしていましたが、上池は大きな池だったので水をかい出すことができないほどで、村の古老はこの池を底なし池と言っていました。
それにはこんなお話があるからです。
ある夏の日、村の子どもたちが由良川で水遊びをしていました。
そこへ父親が地主なのでいつも威張っているかっちゃんが、釣竿を2本持ってきて誘いに来ました。
かつ「おーい、釣竿を持って来てやったぞ、釣りに行くぞ。」
子どもたちはまた勝手を言うので、嫌がって誰も行くと言い出す者はいません。
するとかっちゃんの勝手が始まりました。
かつ「お前と、お前と、お前と、それと、お前と、お前だ、大勢の方が楽しいだろう。」
子①「えー、6人に釣竿2本かい。」
かつ「1本は俺の分、お前らで1本だ、順番に使えよ、」
子②「そんなあー、  それでどこで釣るんだい。」
かつ「大池で大きな鯉を見たんだ、大池にいくぞ。」
こうしてかっちゃんは好きな子を連れ出し大池に向かいました。
大池に着くと自分は良い方の竿を持ち、釣りを始めました。
他の子どもたちは1本の竿を順番に使っての釣りです。
子①「やった、ぎぎが釣れたぞ。さい先いいや。」
するとかっちゃんはうらやましくてなりません。
かつ「おい!そこはおれが目をつけていた場所だ、おれが釣るからあっちへいけ。」
かっちゃんは無理やり場所を代わらせるとそこで釣りを始めます。
子②「きたきた、今度は鯉が釣れたぞ、これは大きいぞ。」
かつ「おい!そこはおれが釣るからどこかほかへ行け。」
またも場所の交代を言い出します。
かっちゃんは自分が釣れないのを悔しがり、場所の交代を次々にさせます。
そうしているうちに他の子たちは順番に回して、5人とも釣り上げたころ、ようやくかっちゃんにも魚がかかりました。
かつ「やった、おれのはでっかいぞ。」
かっちゃんは喜び勇んで魚を釣り上げようとしました。
魚はその時大きく飛び跳ねました。それは見るからに立派な大きな鯉でした。
それだけに力強く竿をぐいぐいと引きます。
かっちゃんは逃すまいと力を込めて傘を握りしめ、足を踏んっ張りましたが泥で足を滑らせてしまいもんどりうってザバン!と池へ落ちてしまいました。
そして、池の深みに逃げる鯉に引かれてみるみる池の水の中へ引き込まれていってしまいました。

残された子供たちは大慌てで村の大人に知らせました。
子⑤「おおい!大変だ、かっちゃんが上池にはまった。」
その知らせを聞いた、父親は飛んでくると、息子を探しましたが見つかりません。
地主「おーい!村のもんよ、一大事だ、すぐに集まれ。」
そう叫ぶと村人を集めて、上池やその周辺をくまなく探させましたが、なかなか見つかりません。
地主「せがれには池に行くとき、万一を考え腰にひょうたんをつけさせたのだ、沈むはずがない。」
そう言っても池の水面にはちっとも姿が見当たりませんでした。
そうするうちに夕方になってしまいます。
地主「明日は池の中に潜ってでも探し出す。」
翌朝泳ぎの達者な若者に腰にながいひもをくくりつけ、池の中をさがさせましたが。全く見つかりません。
若者①「だめだ、池の中には渦のような流れがあって、気を付けないと引き込まれてしまう。」
若者②「もうこれ以上やったら、こっちが飲み込まれてしまう。」
こうなってはあきらめるしかありませんでした。
そんな出来事から、1か月ほどたったころのことです。
志高の長池にぽっかりと浮かぶものがありました。
それはまぎれもなくかっちゃんの着けていたひょうたんでした。
地主はそのひょうたんを目にするとたいそう嘆き悲しんだそうです。
その不思議な話は、瞬く間に村から村へと伝わっていきました。
それから、だれ言うとなく「桑飼の底なし池と志高の長池は底が連なっている。」と伝えられてきました。
今では由良川も河川工事で流れが変わり上池も下池も姿を消しています。

ギギ(ナマズ目ギギ科の淡水魚)

エピソード

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