毎年6月1日、舞鶴市の大浦半島沖合にある冠島の老人嶋(おいとしま)神社で執り行われる「雄島参り」。 美浜、小橋、野原の各漁港から出た漁船は大漁旗をなびかせ、笛や太鼓で祭囃子を奏でながら賑やかに冠島を目指します。
小舟に乗り換えて上陸した後、石だらけの海岸を歩いて老人嶋神社に向かいます。 手つかずの自然が残された神社周辺には、たくさんのオオミズナギドリの巣穴があり、強い土の香りが周辺に立ち込めています。 社殿脇に赤いのぼりが多数立てられ、豊漁と海上安全の祈願祭が古式豊かに執り行われました。
参拝後、海岸では直会が開かれ、新鮮なお刺身やサザエのつぼ焼き、いかめし、亀の手と呼ばれる貝の味噌汁などに 舌鼓を打ちながら、楽しく漁師さんたちのお話を伺い、普段は鳥たち以外に誰もいない島には穏やかな時間が流れていきます。
まるで昔話のような世界から漁港に戻ると、同じ船に乗った方々との強い結びつきのようなものを感じました。 古くから続けられてきた歴史や伝統であるとともに、神様やご先祖様、家族や仲間に感謝や祈りを捧げる、 海で暮らす人々の大切な心の拠り所が「雄島参り」なのではないのでしょうか。
パーソナリティ:
渡邊直樹(ななこちゃったラジオ第1水曜日担当)