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【PODCAST】2024-3-22 OA 第51回 鹿原の「湯舟」

番組名:ラジオ散歩★舞鶴ウォーカー
カテゴリ:ポッドキャスト, 舞鶴の歴史・民話
更新日:2024年03月22日

鹿原(かわら)の湯船(ゆぶね) 

むかしむかし、鹿原(かわら)の今の金剛院がある辺りの奥の林からお湯が沸き出ていたそうです。
この地に金剛院が創建される前、この地域は「湯船(ゆぶね)」と呼ばれていました。
ここに移り住んだ人たちは、荒地だった土地を耕して田んぼや畑にして米や作物を作っていました。
田んぼや畑があるところの奥には林があり、そのまた奥の方からは清くきれいな水が地中から湧いて出て流れてきました。
それは夏は冷たく、冬は暖かい清水でした。
その清流の少し下のところからはお湯も沸き出ていましたので、田んぼや畑仕事で疲れた身体を、お湯につかって疲れをいやしておりました。
村①「いや~、田んぼでの仕事は疲れるが、こうして湯につかれば癒されるのう。」
村②「そうだのう、今日も丁度良い湯加減に体の汚れも疲れもとれて極楽じゃのう。」
それにこの湯は病にも効くし、足腰が悪い人にはとても良く効く良いお湯だったので、近隣にも伝わり、隣の若狭からも足を運んで来る人もたくさんいるほどのありがたがられるお湯でした。
しかし、お湯が沸き出ているところから下流の地域の人たちは嬉しいことばかりではありません。
田んぼにお湯が入ると、田植えをした稲がうまく育たず枯れてしまうのです。
村③「また、稲が枯れてしもうた、お湯が入り込むせいだ。どうにかならんかのう。」
村④「おまえさんところもか、わしのところもダメだ。なんとかお湯が田んぼに入らんようにせんとのう。」
なんとかして、湧き出る清水だけを田んぼに入れる方法はないものか?米を作る仕事をしている人たちはあれこれ試してみました。
村③「囲いを作ってみてはどうかいのう。」
だめです。お湯が流れてこないように囲いを作っても下をくぐってお湯が入ってきます。
村④「用水路を作ってはどうかいのう。」
だめです。用水路からあふれてお湯は流れ込んできました。
どうやってもお湯が流れ込んでくるので、皆はほとほと困ってしまいました。
みんながどうしたものかと話し合っていると、そこへ通りがかった旅のお坊さんが言いました。
坊「お湯を止めたいのじゃな。「しょうぶ」を植えるとお湯が止まると聞いたことがあるぞ。」
村③「おお、そうですか。それはよいことを教えてもらった。さっそくやってみることにしよう。」
坊「それはよいが、禍福は糾える縄の如し。良いことも悪いことも起こることを忘れるのじゃないぞ。」
村の人たちは、お坊さんの言う事を聞いているのかいないのか、さっそくしょうぶをお湯の湧き出ている場所のすぐ下あたりに植えました。
しょうぶはお湯にも強く大きく育ちました。
そのおかげでお湯の流れは止まり下流には流れてこなくなりました。

2024.03 おつぎ

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